四球は悪なのか?”村神様”村上宗隆への失投にみる一考察「対策は考えなくちゃ」「フォアボールを恥だと思うからダメなんです」
質問
なぜ指導者は、ピッチャーは「打たれるのはしょうがないけど与四死球はダメ」だというのでしょうか??
ピッチャーにとって与四死球(フォアボール・デッドボール)もヒットも結果としては塁を一個与えるだけです。ともに「結果的に1つ塁を与えたことに変わりはない」し、仮にヒッティングの場合では、単打だから良かったものの長打になっていた可能性だってあります。わざと四死球を出しているわけでもないのに、与四死球を嫌う指導者が多いのはなぜですか。
回答
単純に打たせるよりは四死球の方が損だからです。どれくらい有利かもわかっています。
2022年では、ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が日本最強の打者だと思います。試合の状況にもよりますが、村上宗隆選手であってもフォアボールはもったいない作戦です。
敬遠と打たせるのではどちらが有利かを判断するには長打率を使います。
長打率とは、1打数あたりの塁打数の平均のことです。1回打ったら平均して何塁打を打てるかということです。
長打率という名前から勘違いしやすいのですが、ヒットのうちいくら長打になったかを測る数値ではありません。
(記録の計算方法 | 野球の記録について | NPB.jp 日本野球機構を参照してください。)
プロ野球(NPB)の場合ですと、
王貞治氏の0.634が最高です。
現役選手ですと柳田悠岐選手の0.548(2022/07/02現在)が1位で、山田哲人選手が0.5199で2位。(NPB長打率ランキング)
よく打つというイメージのある選手でも0.5くらいで、この記録からすると一つ塁を無条件で与えるよりも打数を増やした方が0.4も有利なわけです。
2022年シーズンの村神様こと村上宗隆選手の長打率は、0.71と他の選手と比べると圧倒的な数値です。村上選手が打つとき、すでに塁間の7割からスタートしているようなもんなんです。それであっても基本的には打たせた方が良いのです。
なぜなら、四死球は必ず1つの塁がもらえるからです。「0.71と1どちらが大きいですか??」と聞かれているようなもんですね。守備側としては、数値の小さい方を選択していくことが賢明だと言えるでしょう。
以上のことからもわかるように「わざと四球は選択(敬遠)するのは基本的には良くない」と言えます。
じゃあ、「打たれた方がマシのか...」と考えるのはまちがいです。
四球を嫌った結果打たれたのにOKな訳がありません。
ましてや長打を打たれたくない場合なら四球OK。何も問題はありません。
通常通りに攻めた結果、四球になったのなら気持ちの上ではヒットと同じ状態でいるべきです。
それ以上でもそれ以下でもありません。
たとえ下位打者であってもバットを持っている限りヒットの可能性はあるのと同様、ピッチャーには四球がつきものです。必要以上にヒットと四球を区別する意味がありません。
それこそ野手のリズムが崩れるから四球がいけないというのなら、ヒットでもピンチ度は変わらないので同様にリズムが狂うべきです。
そうでないのなら、ただ野手の思い込みで四球がいけないと思っているだけです。勝利に徹するのなら野手はそういう雰囲気を作らないことが大事です。
ただ、上記のデータはプロ野球の話。
アマチュア野球ですと、打率が5割を超えてくる選手もいると思います。そうなると話は変わってきます。
おそらく打率6割くらいだと長打率も1を超えてくるのではないかと思います。短期的(中学3年間など)には6〜7割くらい打つ選手もいます。
長打率が1を超えてくる選手は無条件で敬遠しましょう。
ゲームで勝つことを目標にしているのなら必要な戦略です。仮に満塁であっても押し出し四球にした方が有利です。
「敬遠はちょっと白けるな」というのなら四球を前提としたコースへの配球をしましょう。これは、バッテリーだけでなくチーム全体で共通の認識を持つべき事柄です。中には四死球を過剰に嫌がる野手もいますからね。どっちが基本的には得なのかを理解すべきでしょう。
以上がボクが考える四球に対する考え方です。
あなたが興味ありそうな記事↓