アマチュア野球の指導者から質問に良くあるのが、投手のコントロールを良くしたいというものがあります。野球はピッチャーが9割といわれるほどですから、指導者としてはどうしても改善したいポイントです。
まずはストレートでストライクを取れること(ブルペンで65〜70%ほど捕手付近に行けばOK)が前提。
5割以下となるとフォームの根本的な改善が必要となります。それはまたの機会にします。
ブルペンでは6〜7割前後のストライクを取れているというのであれば、試合でコントロールが原因で炎上することは避けられます。
上記に書いたレベルであれば、実戦でのコントロールの良し悪しは配球が原因です。
試合で使えるだけの制球力を身につけるには、以下の3つに取り組みましょう。
- 配球の見直し
- 変化球の種類を増やす
- 決め球、カウント球を作る
- 内野の守備を鍛える
配球を見直そう
配球の基本は緩急をつけることです。
制球力の向上には緩急がポイントなのです。
緩急をつける目的は160キロを投げたあとに90キロのスローカーブを投げて打者の姿勢を崩すためではありません。中学生・高校生くらいだとこのことが理解できず、バットに当てられないことを目指してしまいます。
ピッチングは、ちょっとだけ打者のタイミングをずらせれば良いのです。
たとえば以下の球種を持っている投手がいるとします。
- ストレート130キロ
- ツーシーム125キロ
- カットボール122〜3キロ
- スライダー115キロ
- チェンジアップ110キロ
- カーブ105キロ
130キロのストレートを投げたあとに120キロ台のカットボールやツーシームを投げる。
その後に110キロ前後のスライダー、カーブ、チェンジアップを投げることでも十分に緩急を使えています。
前の投球との球速差は10キロですが、10キロ違うと140センチほどの差が生まれます。
ホームベースのサイズは左右に40cmほどなので10キロ違うだけでホームベース3個分も"曲がる"変化球を投げているのと同じことなのです。
この違いを利用することが緩急を使う目的なのです。
この配球が”奥行き”を使った配球というものなのです。
弱小校の配球を見ていると球種が少ないため、ストレートを投げた後に遅い変化球のカーブを投げています。ストレートとカーブの球速差は20キロは出てきます。
大半の打者は待っている球と20キロ近い球速差があると見逃します。
ですのでこういう配球だと投手は自力でストライクゾーンに投げなければストライクを稼ぐことができないのです。投手自身のストライク率に打者のスイングした分が上乗せされない配球なのです。
通常時は2ストライクまではバットに当ててもらえるような配球をし、ピンチでは切り替えることです。
一方で、ストレート狙いの打者にスライダーやカットボールを投げると打者はスイングをしてくれます。スイングをしてくれれば基本的には投手としては任務完了。できることは打球への反応、フィールディングのみです。
仮に、ヒットを打たれたとしてもそれは結果論です。野球では、基本的には長打率は1を超えないので、「打たせて取ろうとするのが確率的に有利」なのはいうまでもありません。
変化球の数を増やす
どのような変化球を増やせばいいかというと、曲がらない変化球です。
カウントを稼ぐ変化球といっても良いかもしれません。
なるべくストレートに近い感覚で投げることで制球力が高まります。少しだけ打ちにくいけどコントロールはそこまで難しくないという球種を作りましょう。
大きく曲がる変化球というのはコントロールが難しいので、プロ野球の抑え投手でもなければそこまで必要ではありません。イメージとしては松井裕樹投手のスライダーや、大魔神・佐々木投手のようなフォークボールなどです。
アマチュア野球では、どれほど曲がるか落ちるかなどを変化球の基準とする思考から抜け出すことが制球力アップの秘訣です。
ポイントはいかに曲がらない変化球を自信を持って意図的に投げられるかです。
決め球とカウントを稼ぐ球
カウントを稼ぐ球の重要性を上で説明しました。ですが、決め球がないと延々とファールで粘られます。ファールで粘られるということは打者の方が力が上なのです。
追い込んだ後には空振りを取ったり、見逃しをさせたりするような決め球も必要です。
決め球は投球フォームによってスライダーなのか、フォークなのかチェンジアップなのかなどは変わってくるでしょう。
決め球を1つは作るという意識を持って練習に取り組みましょう。
え?
「決め球になるような球はないよ…」ですって??
それなら、ストレートの後のチェンジアップや、カーブの後のストレートなど2球のセットで考えてみることをオススメします。
決め配球という考え方です。
特に、長所がない投手におすすめの考え方です。まあ、ふつうの配球ですよね笑
内野の守備を鍛えること。コントロールが悪い原因は打たせてとる配球ができないから。
曲がらない変化球を投げると打者のバットに当たる回数が増えます。ストライクを稼ぐ代わりに打球の飛ぶ確率が高くなります。
ゴロも必然的に増えますから、内野の守備力も大いに関係してきます。内野の守備が弱いと投手はバットに当てられないような球を投げるしかありません。
決め球しか練習しないようになります。
投手の投球のテンポが悪くて守備のリズムが...という声を聞くことがありますが、普段の内野の守備力が配球に影響し、配球がコントロールに影響していることを認識しましょう。
ですのでチームとしては内野の守備を鍛えることもピッチャーのコントロールアップにとっては重要です。
当然、打球速度は速くなりますから一歩目の切り方も重要になります。プロ野球選手の一歩目の切り方を参考に鍛えてください。
【スプリットステップ】DeNAベイスターズ 大和選手 守備 - YouTube
終わりに
なぜこの記事を書いたかというと、ブルペンでのストライク率をカウントしていたところ投手によってそれほど違いは生まれなかったからです。
ですが試合になると、四球の数にははっきりと差が出てくるのです。初球にストライクを取れるかどうかで打者との対戦が有利になるか不利になるかは変わってきたりもしますし、バッターがスイングをするかどうかというのが大きな要素だと思うのです。
アマチュア野球では、球数制限が導入されつつあります。制球力アップは勝利につながりますし、上記のような考え方ですと変化球による肩肘への負担も少なくなります。
アマチュア野球には、メリットの方が大きいので、是非参考にしてみてください。チームメイトの方にシェアすることも忘れずにお願いしますね。
おしまい。
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