スマートフォンやタブレットに不可欠なモバイルバッテリー。しかし、古くなったり不要になったりした際、正しい処分方法をご存知でしょうか?
私も先日、10年ほど前に購入したエレコム製のモバイルバッテリーが膨張しているのを発見し、慌てて処分方法を調べることになりました。
これは本当に危険なサインです!
下側が膨らんでいるのがおわかりでしょうか??
モバイルバッテリーの処分を誤ると、火災事故につながる重大な危険があります。内蔵のリチウムイオン電池は、圧力や衝撃で発熱・発火しやすく、ごみ収集車や処理施設での火災原因となることが実際に報告されています。絶対に一般ごみ(可燃ごみ・不燃ごみ)として捨ててはいけません。
また、リチウムイオン電池にはコバルトなどの貴重な資源が含まれており、リサイクルは環境保護の観点からも重要です。
この記事では、私の実体験も交えながら、モバイルバッテリーを安全かつ適切に処分するための具体的な方法、回収場所、処分前の必須作業、避けるべき捨て方、そして重要なリコール情報まで、網羅的に解説します。
モバイルバッテリー処分の基本ルール:安全とリサイクルのために!
まず、モバイルバッテリーを処分する上で守るべき基本的なルールを確認しましょう。
ルール1: 一般ごみ・不燃ごみには絶対に出さない
最重要ルールです。家庭の一般ごみ(可燃・不燃)には絶対に出さないでください 1。多くの自治体で収集不可とされています。理由は、ごみ収集車や処理施設での圧縮・破砕時に発火するリスクが非常に高いためです。つい最近も、モバイルバッテリーが原因と思われる火災がニュースになっていました。
「リチウム電池で火事の危険性が高まっているんです」 収集車に同乗して見た「普通のごみ」にまぎれて捨てられる実態:中日新聞Web
ルール2: 回収は「リサイクル協力店」や「自治体の回収拠点」へ
処分は、「リサイクル協力店」 または 「自治体が設置する回収拠点」 で行います。これらは、小型充電式電池のリサイクルを推進する一般社団法人JBRCの回収網や、自治体の独自回収ルートに基づいています。
ルール3: 処分前には必ず「絶縁処理」を
回収場所へ持ち込む前には、必ず「絶縁処理」 を行ってください。バッテリーの金属端子部分(USBポートなどを含む)をビニールテープで覆い、ショートによる発火を防ぎます 5。この一手間が安全なリサイクルに不可欠です。
ルール4: 膨張・破損したバッテリーは特に要注意!
私のバッテリーのように膨張・破損・液漏れしている場合は、内部が不安定で発火リスクが高まっています。通常の回収ボックスでは受け入れを断られることが多く、無理に入れるのは絶対にやめましょう。
実際に自治体のサイトやJBRCのサイトを見ても、膨張したバッテリーの扱いは明確でなく、「自治体とJBRCでたらい回しにされるのでは?」と感じることもあります。このような場合は、まず購入したメーカーや販売店、またはお住まいの自治体の清掃担当部署に連絡し、安全な処分方法を相談してください。私の経験上、店舗に持ち込む際も、回収ボックスに直接入れず、必ず店員さんに確認してもらうことを強くお勧めします。
モバイルバッテリーの具体的な処分方法と回収場所:実体験を交えて
主な処分方法は以下の3つです。私の体験も踏まえて解説します。
1. JBRC回収協力店(家電量販店・ホームセンターなど)
最も一般的で便利な方法ですが、注意点もあります。
- 対象: 原則としてJBRC会員企業のモバイルバッテリーで、リサイクルマーク(♻とLi-ion等)が付いているもの。非会員企業の製品や、破損・膨張がひどいものは対象外となる場合があります。
- 回収場所: ヤマダ電機、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ケーズデンキ、エディオン、ノジマなどの家電量販店、カインズ、コーナンなどのホームセンター、一部スーパー、携帯ショップなど。
- 探し方: JBRCウェブサイトの**「協力店・協力自治体検索」**で検索できます。
- JBRC 協力店検索: https://www.jbrc.com/general/recycle_kensaku/
- 手順と実体験:
- 絶縁処理(端子をビニールテープで覆う)。
- 店舗内の黄色い「小型充電式電池リサイクルBOX」を探すか、店員さんに尋ねる。
- 【体験談】 私は最初にコジマに持ち込みましたが、「リサイクルマークがない」という理由で断られました(後で確認したらマークはありました)。JBRCのサイトで確認すると、コジマは回収拠点リストに載っていませんでした。次にヤマダ電機に持ち込んだところ、店員さんがリサイクルマークを確認し、多少膨張していましたが問題なく回収してくれました。
- 【重要】 回収ボックスがあっても、特に状態が気になるバッテリーは必ず店員さんに確認しましょう。リサイクルマークの有無やバッテリーの状態によって対応が異なる可能性があります。リサイクルマーク(♻とLi-ion等)
- メリット: 店舗数が多く便利、無料の場合が多い、買い物のついでに処分可能 。
- デメリット: JBRC非会員製品や破損・膨張品は対象外の場合あり。店舗や店員さんによって対応が異なる可能性も。
2. 自治体の回収サービス
お住まいの自治体による回収サービスです。
- 回収場所: 市役所、公民館、環境センターなどの公共施設に設置された回収ボックス、または特定の回収日(有害ごみなど)。
- 探し方: 自治体のウェブサイト(例:上越市 https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/seikatsu/kankyo-gomi-kaishu23.html)、ごみ分別パンフレット/アプリ、または清掃担当部署への電話で確認。
- 手順: 自治体の指示に従い、絶縁処理をして指定場所/日時に出す。
- メリット: 安心感がある、JBRC対象外品も回収する場合がある(要確認)。
- デメリット: 未実施の自治体あり、回収場所/日時が限定的、ルールは自治体毎に異なるため要確認。膨張・破損品は特に事前相談が必要。
3. メーカー・販売事業者による回収
製品のメーカーや販売店が独自に回収を行っている場合があります 5。
- 回収場所: メーカー窓口、購入店など 。
- 探し方: 製品の取扱説明書、メーカーウェブサイト、購入店への問い合わせ。
- 手順: 指示に従い絶縁処理し、持ち込みや郵送で回収依頼。
- メリット: 自社製品なら確実性が高い、破損・膨張品の相談がしやすい場合がある 。
- デメリット: 未実施の事業者あり、送料負担や手続きが必要な場合がある。
【お得情報】ノジマでの回収
家電量販店のノジマでは、古いモバイルバッテリーを持ち込むと、新しいモバイルバッテリー購入時に使える500円分のポイントがもらえるクーポンを提供している場合があります(ノジマモバイル会員限定)。お近くに店舗がある場合は、非常にお得な選択肢です。詳細はノジマのアプリや店頭でご確認ください。
処分方法の比較まとめ
処分方法 |
メリット |
デメリット |
主な回収場所 |
注意点 |
JBRC回収協力店 |
・店舗数が多く便利・無料の場合が多い・買い物のついでに可能 |
・JBRC非会員製品、破損・膨張品は対象外/要相談・店舗/店員により対応差あり |
家電量販店、ホームセンター、スーパー、携帯ショップなど |
・要絶縁処理・JBRC検索サイトで確認推奨・破損/膨張品は店員に要相談 |
自治体の回収サービス |
・自治体主体で安心・JBRC対象外品も回収の場合あり(要確認) |
・未実施の自治体あり・回収場所/日時が限定的・ルールが自治体毎に異なる |
公共施設、環境センター、特定のごみ収集日など |
・要絶縁処理・自治体HPや担当部署への確認必須 ・破損/膨張品は特に要相談 |
メーカー・販売事業者 |
・自社製品なら確実性が高い・破損・膨張品の相談がしやすい場合あり |
・未実施の事業者あり・送料負担や手続きが煩雑な場合あり |
メーカー窓口、購入した販売店など |
・要絶縁処理・メーカーHPや取扱説明書、販売店への確認が必要 |
ノジマ |
・回収+ポイント付与の可能性(会員限定) |
・会員登録が必要・クーポン条件等は要確認 |
ノジマ店舗 |
・要絶縁処理・事前にアプリ等でクーポン確認推奨 |
処分前の重要ステップ:安全のための絶縁処理
モバイルバッテリーを回収に出す前には、必ず絶縁処理を行ってください。これは発火事故を防ぐための最も重要な安全対策です。
なぜ絶縁が必要か?
金属端子が他のバッテリーや金属と接触するとショートし、発熱・発火する危険があるためです。
正しい絶縁方法
- 用意するもの: ビニールテープ(セロハンテープ等は避けるのが望ましい)。
- 端子の確認: 金属が露出している端子部分(USBポートなど)をすべて確認。
- テープで覆う: 端子部分をビニールテープで完全に覆い、隙間なく貼り付けます 。
絶対にやってはいけない処分方法とその理由
以下の方法は非常に危険であり、絶対に避けてください。
1. 一般ごみ(可燃・不燃)として捨てる
最も危険で、絶対に禁止されている方法です 1。ごみ収集車や処理施設での火災事故の主原因となります。
2. 分解・破壊する
分解、穴あけ、強い衝撃は極めて危険です。内部ショートや化学反応により、発熱、発火、破裂、有毒ガス発生の恐れがあります。
3. 加熱する・水に濡らす
火中投入や電子レンジ加熱は爆発の危険があります。水濡れも内部ショートの原因となるため避けてください。水没した場合は専門家(メーカーや自治体)に相談しましょう。
4. 回収対象外の場所に捨てる
乾電池用回収箱など、指定外の場所に入れるのは間違いです。適切な処理ができず、事故の原因にもなりかねません。必ず「小型充電式電池」 または 「モバイルバッテリー」 の表示がある専用回収場所を利用してください。
購入時の注意点:処分のしやすさも考えて
モバイルバッテリーを購入する際は、性能や価格だけでなく、処分のしやすさも考慮に入れることをお勧めします。
- リサイクルマークを確認: JBRC会員企業の製品にはリサイクルマークが付いています。エレコム のような大手メーカー品なら、ほぼマークが付いているはずです。マークがあれば、JBRC協力店での回収がスムーズです。
- 海外製品・ノーブランド品に注意: ネット通販などで安価な海外製バッテリーを購入する場合、JBRC非会員でリサイクルマークがない可能性があります。その場合、処分時に協力店で断られたり、自治体への相談が必要になったりする手間がかかることがあります。
購入時に少し気をつけるだけで、将来の処分がぐっと楽になります。
【重要】リコール対象製品について
モバイルバッテリーの中には、発煙・発火の危険性があるとしてリコール(自主回収)対象となっている製品があります。もしお持ちのバッテリーが該当する場合は、直ちに使用を中止し、メーカーの指示に従って回収・返金手続きを行ってください。以下は、過去にリコールが発表された主な製品例です。
- アンカー・ジャパン「Anker 535 Power Bank(PowerCore 20000)」(品番: A1366)
- 理由: 国外で発火事象が発生。製造過程の不備による内部短絡の可能性。
- 販売期間: 2022年11月~2023年1月頃 26。
- 対応: 回収・返金。
- 詳細・連絡先: Anker Japan公式サイトの告知ページ参照。
- ポケモン「モンスターボール モバイルバッテリー Anker 10000mAh」(型番: A1270)
- 理由: 焼損事故が2件発生
- 販売期間: 2017年6月~10月頃
- 対応: 回収・返金
- 詳細・連絡先: ポケモン公式サイトの告知ページまたは専用フリーダイヤル参照
- コロプラ「モバイルバッテリー(ダブルケイ製)」 (白猫プロジェクト関連グッズ等)
- 対象商品例: スマートフォンバッテリー ゼロキス、メルクリオ、ラパパのスマートフォンバッテリー(背面印字なし)
- 理由: 異常な発熱・発煙の事例を確認
- 販売期間: 2015年10月~2016年7月頃
- 対応: 回収・返金(現在は株式会社MAGES.が対応)
- 詳細・連絡先: コロプラまたはMAGES.の告知ページ参照
※上記は一例です。お持ちのバッテリーについて不安な場合は、メーカー公式サイトなどでリコール情報を確認してください。
まとめ:安全・確実にモバイルバッテリーを処分するために
モバイルバッテリーの処分は、安全と環境のために正しい手順で行いましょう。
- 一般ごみには絶対捨てない
- 処分前には必ず絶縁処理(端子をテープで覆う)
- JBRC回収協力店、自治体の回収拠点、またはメーカー・販売事業者 へ。
- 膨張・破損バッテリーは回収ボックスに入れず、必ず店員や自治体に相談
- リコール対象製品でないか確認し、該当する場合は直ちに使用中止・メーカー連絡。
- 購入時はリサイクルマークの有無も確認すると後々楽。
- ノジマではお得な回収キャンペーンがある場合も。
よくある質問 (FAQ)
Q1: モバイルバッテリーの寿命は?
A1: 一般的に充放電300~500回程度。充電の減りが早い、異常な発熱、膨張は寿命のサインです。
Q2: 膨張したバッテリーはどうすれば?危険?
A2: 非常に危険な状態です。直ちに使用中止し、衝撃を避け安全な場所に保管。通常の回収ボックスには入れず、速やかにメーカー、販売店、自治体に連絡し指示を受けてください。私の経験からも、店員さんへの直接相談が確実です。
Q3: JBRC回収ボックスが見つからない/近くにない場合は?
A3: JBRCウェブサイトで最新情報を確認。なければ自治体の回収サービスを確認するか、メーカー・販売店に問い合わせましょう。
Q4: 海外メーカー製やリサイクルマークのないものは?
A4: JBRC回収対象外の可能性が高いです。まずお住まいの自治体に相談してください。自治体によっては受け入れ可能な場合があります。メーカーや輸入販売元への問い合わせも有効です。購入時にマークを確認するのがベストです。
Q5: デジカメ等の他のリチウムイオン電池も同じ?
A5: はい、取り外し可能なリチウムイオン電池(デジカメ、電動工具用など)も、基本的には同様に絶縁処理してJBRC回収ボックス等に出せます。ただし、製品組込型で取り外せない場合は、製品ごと小型家電リサイクル等の対象となることがあるため、自治体のルールを確認してください。
参考情報:JBRC会員企業について
モバイルバッテリーの回収・リサイクルに協力しているJBRC会員企業は多数存在します。以下はその一部の例です。
- アンカー・ジャパン株式会社 (Anker)
- エレコム株式会社 (ELECOM)
- バッファロー株式会社 (BUFFALO)
- 株式会社アイ・オー・データ機器 (I-O DATA)
- ソニー株式会社 (SONY)
- パナソニック株式会社 (Panasonic)
- 株式会社日立マクセル (Maxell)
- FDK株式会社
- 株式会社オウルテック (Owltech)
- 多摩電子工業株式会社 (Tama Electric)
- 株式会社磁気研究所 (HIDISC)
- CIO株式会社
- Cheero (ティ・アール・エイ株式会社)
- その他
JBRC会員企業は非常に多く、リストは随時更新されています。最新かつ完全なリストは、以下のJBRC公式サイトで確認できます。
JBRC公式サイト 会員企業一覧: https://www.jbrc.com/member/member_list/
この記事が、モバイルバッテリーの安全な処分の一助となれば幸いです。ルールを守って、火災事故を防ぎ、限りある資源を未来につなげましょう。
以下の有料部分には参考文献のリストが紹介されています。