ブログを始めようとすると、必ずこう言われる。「特化にしないと稼げないよ」「雑記は検索に弱い」「テーマを絞れ」と。確かに、短期で収益化するなら特化ブログが正しい。そこは認める。でも、「100年続ける」という条件を一つ加えた瞬間、この常識は静かにひっくり返る。
① まず、特化ブログの強さを正直に認める
逆張りしたいわけじゃない。特化ブログが優れている点は本当にある。
SEOの観点では、テーマが絞られたサイトはGoogleに「専門性が高い」と評価されやすい。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の文脈でも、特定ジャンルに特化したサイトは有利だ。収益化の速度も違う。狙ったキーワードに集中できる分、ターゲット読者を引き込みやすく、アフィリエイト報酬に直結しやすい。
3年〜5年という時間軸で見れば、特化ブログの方が収益は上がりやすい。これは事実だし、否定するつもりもない。
ただし、条件がある。「そのジャンルが3〜5年後も存在していること」「自分がそのジャンルへの熱量を維持できること」。この二つが揃っていれば、の話だ。
② 「100年」という変数を投入すると何が起きるか
100年という数字は、さすがに大げさに聞こえるかもしれない。でも少し立ち止まって考えてほしい。今から100年前は1926年だ。大正15年・昭和元年。ラジオ放送が始まったばかりの時代で、テレビもない。インターネットどころか、電話すら一般家庭には届いていなかった。
その時代に「最新メディア特化ブログ」を始めた人がいたとして、100年後の今も読まれているだろうか。そもそもメディアの形自体が、何度も根本から変わっている。
100年は極端だとしても、これが問いかけていることはシンプルだ。「あなたが今特化しようとしているジャンルは、10年後も20年後も存在しているか?」それだけだ。
SEOのルール自体が、この数十年で何度も書き換えられてきた事実を見れば、その問いは笑えない。
| 年代 | 流行ったジャンル | 現在の状況 |
|---|---|---|
| 2000年代 | 携帯電話レビュー、出会い系情報 | ほぼ壊滅 |
| 2012年頃 | SEOハック・被リンク系 | Googleペンギンで壊滅 |
| 2015年頃 | キュレーションまとめサイト | DeNA騒動で社会問題化 |
| 2017年頃 | 仮想通貨・ICO情報 | バブル崩壊で激減 |
| 2021年頃 | NFT・メタバース | ほぼ話題にならず |
| 現在 | AI活用・ChatGPT特化 | 10年後は? |
特化ブログは「ジャンルごと死ぬ」というリスクを常に抱えている。そして100年という時間軸で見れば、生き残るジャンルなど存在しない。書き手が変わらなくても、ジャンルが消える。メディアの形ごと変わる。
③ ジャンルは人より先に死ぬ
雑記ブログが弱いと言われる最大の理由は「テーマがバラバラだから」だ。でもこれ、裏を返せば「ジャンルが消えても死なない」ということでもある。
僕は今、副業で軽貨物の配送をやっていて、資格の勉強もしていて、DIYリフォームもやっていて、NISAや高配当ETFに投資もしている。どれか一つが「オワコン」になっても、残りが続く。人生が続く限り、ネタが枯れない。
POINT 人間の興味は10年で必ず変化する。特化ブログはその変化を「裏切り」にするが、雑記ブログはその変化を「成長」に変える。
20代で書いた節約術の記事が、30代で子育て記録に変わり、40代でDIYや資産運用の話になる。そのグラデーションが、長く読まれる「人間の記録」になっていく。特化ブログには、この流れを受け止める器がない。
④ バーンアウト問題——書くことを探す苦しさ
特化ブログをやっている人なら、一度は経験があるんじゃないか。「今月、何を書けばいいんだろう」という感覚。ジャンルが決まっているからこそ、その枠の中でネタを探し続けなければならない。
これが3年、5年と続くと、じわじわとキツくなる。義務感で書いた記事は、読んでいる側にも伝わる。「また同じような記事だな」という感じ。それが積み重なると、ブログそのものが重荷になる。
雑記ブログは違う。深夜に配達しながら聴いたラジオ深夜便の話を書いてもいい。風呂場の固形石鹸に変えたら年間5,000円浮いた話でもいい。どうでもよさそうなことが、誰かの「あ、これ自分も」につながる。
- ・枠の中でネタを絞り出す
- ・競合と同じテーマを扱う
- ・差別化が難しくなる
- ・義務感が生まれやすい
- ・今日の体験がそのままネタ
- ・人生のステージで変化する
- ・自分にしか書けない話がある
- ・書きたいから書ける
100年書き続けるためには、書くこと自体を好きでいられる状態を維持しなければならない。そのための設計として、雑記ブログは合理的だ。
⑤ 「その人そのもの」が競合優位になる
特化ブログの競合は、同じジャンルの全サイトだ。「宅建 勉強法」というキーワードで戦えば、同じキーワードを狙う何千ものサイトがライバルになる。しかもAIが記事を量産できる時代に、情報の均質化はさらに加速している。
雑記ブログの競合は、自分以外にいない。
副業で配送をしながら資格を勉強して、株を含み損で持ちながらiDeCoを運用している人間の記録を書けるのは、世界でただ一人だ。これはSEOの話ではなく、存在の話だ。
POINT AI時代において、情報の価値は下がり続ける。上がり続けるのは「誰が、どう生きたか」という一人称の記録だ。
100年分の雑記ブログは、その人の人生そのものになる。検索エンジンが何度変わろうと、「この人の話が読みたい」という読者は消えない。特化サイトが束になっても、それは作れない。
⑥ 収益の話に正直に向き合う
「でも結局、雑記は稼げないでしょ」という声は聞こえる。正直に言う。最初の3年は、特化ブログの方が稼ぎやすい。これは認める。
ただ、iDeCoの手数料と同じ話だ。月171円という固定費も、運用期間が長くなるほど「率」が下がっていく。雑記ブログも同じ構造で、記事が積み上がるほど、検索からの流入経路が増え、収益の柱が複数に分散していく。
1,000記事のうち50記事が稼いでいれば十分。雑記ブログは多様なジャンルを扱うことで、「稼ぐ記事」の母数が自然と増える。特化ブログは全記事が同じジャンルに賭けていて、そのジャンルが終われば全部終わる。
100年で数万記事を書いたとして、特化ブログは「一つの賭け」に全部乗っている。雑記ブログはポートフォリオだ。投資で分散投資が推奨される理由と同じ論理が、ここにも成立する。
⑦ 結論——これは100年マラソンの話だ
この記事は「ブログで一発当てたい人」に向けて書いていない。そういう人は特化ブログをやればいい。3年、うまくいけば稼げるかもしれない。
でも「100年、書き続けたい人」には、雑記ブログの方が向いている。ジャンルが変わっても書ける。人生のステージが変わるたびにネタが生まれる。競合は存在しない。バーンアウトしにくい。
特化ブログは短距離走で有利な設計だ。雑記ブログは100年マラソン向けの設計だ。42.195kmの勝ち方と、人生を走り抜く勝ち方は違う。
10年続けたブログは、立派な資産になる。
30年続けたブログは、その人の歴史になる。
100年続いたブログは、後世への遺産になる。
誰かが真似できる「情報」じゃなく、誰にも真似できない「記録」として。
特化ブログが勝つのは短距離走。
雑記ブログが勝つのは、人生という名の100年マラソンだ。