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【宅建】未成年者は専任の宅建士になれる?

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1.過去問をチェック!

 

まずは、今回のテーマとなる過去問を見てみましょう。

【平成8年 問43 改題】

宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する18歳未満のものである宅建士Bは、法人である宅建業者Aの役員であるときを除き、その法人Aの事務所等の専任の宅建士となることができない。

○か×か

 

2.はじめに

 

どうも!あなたの町の不動産オタク、大吾です!

この問題、一見するとシンプルな○×問題ですが、その裏には宅建業法と「ある法律」の意外な関係が隠されています。

 

その法律とは、なんと「労働基準法」!

 

「え、宅建業法の問題なのに、なんで労働法が関係あるの?」と思ったあなた、素晴らしい着眼点です!

この意外なカラクリをスッキリ解き明かせば、宅建士の「専任性」について一気にマスターできますよ。

 

それでは、一緒に見ていきましょう!

 

3.不動産オタク大吾の徹底解説!

結論:この記述は「正しい(○)」!

 

まず結論から。この問題文の記述は正しいです。

重要なのは、なぜそうなるのか?という理由付け。しっかりついてきてくださいね。

 

【法的根拠】

 

この問題を解く上で、頭に入れておくべき根拠はこちらです。

  • 宅地建物取引業法 第31条の3第1項: 「専任の」宅地建物取引士の設置を義務付けていますが、「専任」の定義自体は書かれていません。

  • 国土交通省『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』(ガイドライン): 「専任」とは何か(常勤性・専従性)を具体的に示している、事実上の最重要ルールです。

  • 労働基準法 第61条など: 年少者(18歳未満)の労働時間や深夜業を制限する規定。

 

ポイント①:「成年者と同一の行為能力を有する未成年者」の正しい定義

 

まず、この人物を正しく理解しましょう。これは、以下のいずれかに該当する18歳未満の人を指します。

  1. 婚姻している未成年者(成年擬制): 民法では、一度結婚した未成年者は、大人と同じ法律上の行為ができるとみなされます。

  2. 特定の営業について法定代理人(親など)の許可を得た未成年者: 例えば「宅建業を営んで良いよ」と親から公式に許可された場合です。

 

ポイント②:なぜ「通常の従業員」だと専任になれないのか?【核心】

ここが最大のポイントです。

 

宅建業法には「18歳未満の者は専任宅建士になれない」という直接的な条文はありません。しかし、労働基準法が分厚い壁となって立ちはだかります。

 

労働基準法では、年少者(18歳未満)を保護するため、以下のような厳しい制限が設けてあります。

  • 原則、時間外労働や休日労働は禁止。

  • 原則、深夜(午後10時~午前5時)の勤務は禁止。

一方で、宅建業者が置かなければならない「専任」の宅建士には、「常勤性(その事務所に常時勤務すること)」が求められます。

 

この要件は、法律の条文に直接書かれているわけではありませんが、国土交通省の公式な見解である『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』において明確に示されています。

 「専任の取引主任者」の専任性について
「専任」とは、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引
業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。)して、専ら宅地建物取引業に従事
する状態をいう。ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している
場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間
に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとする。

お客様の都合で勤務時間が変動することも多い宅建業の実務において、上記のような労働時間の制約がある年少者が、この「常勤性」の要件を完全に満たすことは困難である、というのが国の解釈です。

 

つまり、労働基準法の保護があるがゆえに、行政解釈で示されている「専任性」の要件を満たせない、というのが、原則として専任になれない本当の理由なのです。

 

ポイント③:なぜ「役員」なら専任になれるのか?

 

では、なぜ「役員」という立場なら、この壁をクリアできるのでしょうか。

それは、法人の役員は、労働基準法でいう「労働者」には当たらないからです。

 

役員は会社と「委任契約」を結ぶ立場であり、従業員のように「雇用契約」を結んでいるわけではありません。そのため、労働基準法で定められた労働時間や深夜業の制限を受けないのです。

 

労働基準法という制約がなくなることで、はじめて「常勤性」の要件を満たすことが可能になります。

ただし、役員なら誰でもOKというわけではありません。 国土交通省のガイドラインでは、たとえ役員であっても、非常勤の役員や、主として他の業種を担当していて宅地建物取引業の業務の比重が小さい役員は、専任とは認められないと釘を刺しています。

つまり、「労働基準法の制約を受けない立場であること」に加え、「代表者や宅建業担当役員として、その業務にしっかり関わっている実態があること」の両方が揃って、はじめて例外的に専任宅建士になる道が開かれるのです。

4.理解を深めるための補足知識

【実務ポイント】

  • 成年年齢引下げで変わった現実: 2022年4月1日の民法改正により、成年年齢が18歳となりました。これにより「未成年者」は17歳以下となり、この問題の対象者は激減しました。17歳といえば多くが高校生。現実的に考えて、高校に通いながら不動産会社で「常勤」として働くことは不可能ですよね。つまり、この論点は理論上の問題として残るものの、実務で遭遇する可能性はほぼゼロになったと言えます。

 

  • だからこそ学ぶ価値がある!: 「じゃあ、もう覚えなくていいの?」いいえ、逆です!この問題は「専任性」の本質を理解するための最高の教材なんです。
    • 労働法の制約がある人は、なぜ専任になれないのか?
    • 「常勤性」とは具体的に何を意味するのか?
    • 役員という立場がなぜ特別扱いされるのか?
    これらの理解は、パートタイマー、兼業者、他社役員など、現在も頻出する専任性の問題を解く土台となります。

 

  • 試験戦略としても重要: 宅建試験は「基本的な考え方を応用できるか」を問う試験です。この問題のように、複数の法律と行政解釈を組み合わせて答えを導く思考プロセスは、まさに試験が求める力そのもの。未成年者という設定は古くなっても、この思考法は永遠に使えるスキルです。

 

【関連問題チェック】

 

「専任性」が認められない代表的なケースです。これらは全て原則として「×(専任になれない)」と判断できるようにしておきましょう。

  • □ 他の法人の常勤役員を兼ねている場合

  • □ 頻繁に長期の出張があるなど、社会通念上、事務所に常時勤務できるとはいえない場合

  • □ パートタイマーやアルバイトとして勤務している場合

 

【法改正情報】

 

宅建業法や関連法令は、社会の変化に合わせて頻繁に改正が行われます。例えば、

令和7年4月1日からは、信託会社等が宅建業を営む際の届出に必要な添付書類の内容が変更されたり、宅地建物取引業者名簿の閲覧が、紙だけでなく映像ファイルなど電磁的記録の表示によっても可能になったりする改正 が施行されます

今回の問題とは直接関係ありませんが、国土交通省のウェブサイトなどで常に最新の情報をチェックする習慣をつけておくことが、合格をより確実なものにします。

 

5.まとめ

 

今回の解説の要点を整理します。

  • 結論: 問題文は「正しい(○)」。

  • 理由:

    • 一般従業員の場合: 労働基準法の保護(労働時間制限など)により、国交省ガイドラインが求める「常勤性」を満たすことが困難なため、専任になれない。

    • 役員の場合: 労働者ではないため労働基準法の適用を受けず、「常勤性」の要件を満たすことができるため、専任になれる。

宅建の勉強、大変なことも多いと思いますが、一つの問題を深く理解することが合格への一番の近道です!

 

www.daragoblog.com

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