【問題】
宅建業法(R2-10月-問26)
宅建業者A社(甲県知事免許)が 宅建業者ではない B 社との合併により消滅した場合には、B社は、 A 社が消滅した日から30日以内に A 社を合併した旨を甲県知事に届け出れば、A 社が受けていた免許を承継できる。
◯か✕か?
どうも、不動産オタクの大吾です!
会社の「合併」って、ニュースとかでよく聞くけど、宅建業の免許を持っている会社が合併したら、その免許ってどうなるんだろう?って思ったことありませんか?
「手続きすれば、そのまま引き継げるんじゃないの?」なんて軽く考えていると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。
今回の問題は、まさにその「免許の承継」に関する重要な知識が問われる問題です。
一見、単純な手続きの問題に見えますが、宅建業法の根幹に関わる大切なルールが隠されています。
それでは、この問題の核心を一緒に見ていきましょう!
【解説】
結論:答えは「✕(誤り)」です!
まず結論から。この問題の記述は誤りです。 B社は、たとえ30日以内に届出をしたとしても、A社が受けていた免許を承継することはできません。
なぜ承継できないのか?核心は「一身専属性」
ここが一番大事なポイントです。宅建業の免許は、「一身専属的(いっしんせんぞくてき)」な性質を持つからです。
「一身専属的」とは、簡単に言えば「その人(その会社)だからこそ与えられた、一代限りの特別な許可」ということです。
免許は、申請した会社の役員の経歴、財産状況、事務所の体制など、様々な要件を厳しく審査した上で与えられます。
そのため、全く別の会社であるB社が、A社の免許を「はい、どうぞ」と簡単に引き継ぐことは認められていないのです。特に今回のケースでは、B社は宅建業者ですらないので、宅建業者としての厳しい審査を一切受けていません。
もしB社が宅地建物取引業を営みたいのであれば、合併後に、B社として新たに宅建業の免許を申請し、取得しなければなりません。
じゃあ「30日以内の届出」って何?
これが受験生を混乱させる引っ掛けポイントですね。 問題文に出てきた「30日以内の届出」は、免許の「承継」の手続きではありません。
宅建業者A社が合併によって消滅した場合、A社を代表する役員であった者は、その日から30日以内に、免許権者である甲県知事に「廃業等の届出」をしなければならない、というルールです。(宅地建物取引業法 第11条第1項第2号)
つまり、この届出は「A社は宅建業を辞めました(廃業しました)」という報告に過ぎず、この届出をもってA社の免許は効力を失います。承継どころか、免許がなくなってしまうんですね。
【ポイント整理】
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A社(宅建業者) が B社(非・宅建業者) に吸収合併され消滅した場合…
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A社の免許は承継できない。
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A社の元代表役員は、30日以内に「廃業届」を提出する義務がある。
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この届出により、A社の免許は効力を失う。
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B社が宅建業を営むには、新たに免許を取得する必要がある。
【応用・比較】混同しやすいケースを徹底整理!
「じゃあ、合併する相手も宅建業者だったら?」「社長が亡くなって息子が継ぐ場合は?」 そんな疑問が浮かびますよね。ここが試験で狙われやすい比較ポイントです。まとめて整理しておきましょう。
ケース①:宅建業者同士の合併
宅建業者A社が、同じく宅建業者であるC社に吸収合併された場合はどうでしょう?
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免許の行方
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消滅するA社の免許は、合併の効力発生(登記日)をもって失効します。
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存続するC社の免許はそのまま有効で、このC社の免許で事業を続けます。
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やはり免許の承継という概念はありません。
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必要な手続き(ここが重要!) このケースでは、2つの届出が必要になります。
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【消滅会社側】廃業等の届出
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誰が?:消滅したA社の元代表役員
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何を?:「合併により消滅しました」という廃業の届出
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いつまで?:合併の日から30日以内
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【存続会社側】変更の届出
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誰が?:存続するC社
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何を?:合併に伴い、C社の商号、役員、事務所などに変更があれば、その「変更の届出」
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いつまで?:変更があった日から30日以内
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根拠:宅地建物取引業法 第9条
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さらに応用として、甲県知事免許のA社と乙県知事免許のC社が合併し、両方の県で事務所を続ける場合、C社は新たに国土交通大臣免許への「免許換え」が必要になります。
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ケース②:個人業者の相続
個人の宅建業者が亡くなり、その相続人が事業を引き継ぐ場合はどうでしょうか。
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免許の行方
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これも承継できません。免許は亡くなった業者一代限りのものだからです。
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業者の死亡により、免許は当然に失効します。
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相続人が宅建業を続けたければ、自分名義で新たに免許を取得する必要があります。
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必要な手続き
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誰が?:その相続人
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何を?:「業者が死亡しました」という廃業の届出
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いつまで?:死亡の事実を知った日から30日以内
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比較まとめ表
| ケース | 免許の行方 | 必要な届出 | 備考 |
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今回の問題 (非宅建業者と合併) |
A社の免許は失効。承継不可。 |
廃業届(元A社役員が30日以内) |
B社は新規に免許取得が必要。 |
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業者間合併 (宅建業者同士) |
消滅会社の免許は失効。存続会社の免許で継続。 |
①廃業届(消滅会社側) ②変更届(存続会社側) |
事務所の状況により「免許換え」が必要な場合も。 |
| 個人業者の相続 | 業者の死亡で免許は失効。承継不可。 | 廃業届(死亡)(相続人が30日以内) | 相続人は新規に免許取得が必要。 |
このように、どのケースでも「免許の承継はできない」という大原則は共通です。その上で、誰がどんな届出をする必要があるのかを区別して押さえることが重要です!
法改正について
最近の宅地建物取引業法や関連法令の改正(令和6年6月28日公布、令和7年4月1日施行など
今日のまとめ
いかがでしたか?今回の問題のポイントをもう一度おさらいしましょう。
✅ 宅建業の免許は「一身専属」。他人が引き継ぐことはできないのが大原則! ✅ 宅建業者「でない」会社が合併しても、免許は承継できない。 ✅ 合併で消滅した宅建業者は、30日以内に**「廃業の届出」**が必要。これにより免許は失効する。 ✅ 宅建業者同士の合併では「廃業届」と「変更届」の2つが必要。 ✅ 「合併=承継できる」という安易な思い込みは禁物!
ルールの背景にある「なぜそうなっているのか?」を理解すると、知識が定着しやすくなりますよ。宅建の勉強は覚えることが多くて大変ですが、一つ一つ着実に理解を深めていきましょう。応援しています!