Chromeの翻訳機能の概要
Google Chromeには、外国語のウェブページを閲覧する際に非常に便利な自動翻訳機能が組み込まれています。この機能はGoogle翻訳の技術を活用しており、ユーザーが理解できない言語で書かれたページを自動的に検出し、指定した言語(通常は母国語)への翻訳を提案します。ボタンをクリックするだけで、ページ全体のテキストが翻訳され、海外の情報をスムーズに理解できるようになります。
問題点:翻訳が機能しない場合
多くのユーザーにとって日常的に役立つこの機能ですが、時として期待通りに動作しないことがあります。具体的には、外国語のページを開いても翻訳を提案するポップアップが表示されない、あるいは手動で翻訳を試みても失敗するといった状況が発生します 。原因は、単純な設定ミスから、ブラウザの一時的な不具合、特定のウェブサイト側の制限まで多岐にわたります。
この記事でわかること
このレポートでは、Google Chromeのページ翻訳機能が動作しない場合に考えられる原因を体系的に診断し、問題を解決するための具体的な手順を包括的に解説します。基本的な設定の確認から始め、一般的なトラブルシューティング、高度な解決策、そして代替手段までを順を追って説明します。
- Chromeの翻訳機能の概要
- 問題点:翻訳が機能しない場合
- この記事でわかること
- パート1:基本的なチェックと翻訳設定の確認
- パート2:一般的な翻訳問題の診断と修正
- パート3:高度なトラブルシューティングと代替の翻訳方法
- 結論
パート1:基本的なチェックと翻訳設定の確認
翻訳機能の問題に直面した場合、まずはChromeの基本的な設定が正しく構成されているかを確認することが重要です。多くの場合、問題は簡単な設定変更で解決します。
1.1 Chromeの基本的な翻訳設定の確認と有効化
Chromeの翻訳機能は、いくつかの設定項目によって制御されています。これらの設定が意図通りになっているかを確認しましょう。
デスクトップ版 (Windows/Mac/Linux):
- Chromeブラウザの右上にある縦三点リーダー「︙」メニューをクリックし、「設定」を選択します。
- 左側のメニューから「言語」を選択します。
- 「Google 翻訳」セクションを探します。
- まず、「Google 翻訳を使用する」という項目(または類似の表現)がオン(有効)になっていることを確認します。これが翻訳機能全体のマスターコントロールです。
- 次に、非常に重要な点として、「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」(または "Offer to translate pages that aren't in a language you read")がオンになっていることを確認します。この設定は、自動的に翻訳を提案するポップアップの表示を制御します。
- 最後に、「この言語に翻訳する」で、翻訳先の言語が希望の言語(例:日本語)に設定されていることを確認します。
Android版:
- Chromeアプリを開き、画面右上(または右下)の縦三点リーダー「︙」メニューをタップし、「設定」を選択します 9。
- 「言語」をタップします 9。
- 「翻訳設定」という項目を探します 9。
- 「他の言語のページを Google で翻訳するか尋ねる」(または "Offer to send pages in other languages to Google Translate")がオンになっていることを確認します 9。これが画面下部に表示される翻訳提案バーを制御します。
- 必要であれば、「詳細設定」に進み、「この言語に翻訳する」で翻訳先の言語を設定します 9。
これらの設定項目は密接に関連していますが、役割が異なります。「Google 翻訳を使用する」は機能自体の有効化、「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」は自動提案の有効化です。ユーザーがこれらの違いを理解せずに一方をオフにしてしまうと、「翻訳機能が動かない」あるいは「自動で提案されなくなった」という状況に陥りやすいため、両方の設定を確認することが不可欠です。
わたしの場合は、「Google 翻訳を使用する」は機能自体の有効化がされていないことが原因でした。拡張機能でグーグル翻訳を入れていたので、作動するものだと思っていた。さらに調べてみると、拡張機能のグーグル翻訳は不要とのこと。理由は、Chrome自体に自動翻訳機能が備わっているから。
1.2 言語ごとの翻訳設定の管理
Chromeは、ユーザーが理解できる言語と、翻訳が必要な言語を判断するために、いくつかの言語リストを管理しています。これらのリストの設定が、翻訳機能の動作に影響を与えることがあります。
- 言語リストの理解: Chromeの設定内には、「優先言語」(ユーザーが理解できる言語)、「これらの言語を自動的に翻訳する」、「これらの言語のページでは翻訳ツールを表示しない」(または「翻訳するか確認しない言語」)といったリストがあります 1。
- 優先言語の追加/削除: ユーザーが理解できる言語を「優先言語」リストに追加します。Chromeはこのリストを基に、表示しているページの言語がユーザーにとって外国語かどうかを判断し、翻訳を提案するかどうかを決定します。
- 「翻訳ツールを表示しない」リストの確認: このリストは特に注意が必要です。もし翻訳したいページの言語(例えば英語)が、誤ってこのリストに追加されている場合、その言語のページでは絶対に自動翻訳の提案が表示されなくなります。リストを確認し、該当する言語があれば削除する手順を実行してください。これはユーザーからの問い合わせで特定された問題点(2)に直接対応します。
- 「自動的に翻訳する」リストの活用: 常に自動で翻訳してほしい言語(例:常に英語から日本語へ)をこのリストに追加すると、該当言語のページを開いた際に、確認なしで自動的に翻訳が実行されます。逆に、自動翻訳が不要になった言語はこのリストから削除できます。
時折、Chromeがページの言語を誤って認識したり、優先言語リストに含まれる言語だと誤解したりすることがあります。これが翻訳提案が表示されない原因となることもあります。特に、「翻訳ツールを表示しない」リストに、過去にユーザーが「今後、[特定の言語]を翻訳しない」という選択をした結果、その言語が登録されてしまっているケースは少なくありません。例えば、英語のページを翻訳したいのに、以前に「英語は翻訳しない」と設定してしまっていた場合、英語のページでは自動翻訳が機能しなくなります。このため、このリストの確認と整理は、トラブルシューティングにおいて非常に重要なステップとなります。
1.3 手動での翻訳実行(自動翻訳が機能しない場合)
自動翻訳の提案が表示されない場合でも、多くの場合、手動で翻訳を実行することが可能です。これは問題の切り分けにも役立ちます。
デスクトップ版:
- 右クリックメニュー: ページの何もない領域を右クリックし、表示されるメニューから「[言語]に翻訳」(例:「日本語に翻訳」)を選択します 1。これが最も手軽な回避策となることが多いです。
- アドレスバーのアイコン: 自動提案が表示されなくても、アドレスバーの右端にGoogle翻訳のアイコンが表示される場合があります。このアイコンをクリックすると、手動で翻訳を開始したり、翻訳言語を選択したりできます。
- 選択範囲の翻訳: ページ内の一部分のテキストだけを翻訳したい場合は、翻訳したいテキストを選択し、右クリックして「選択範囲を[言語]に翻訳」を選ぶこともできます。
Android版:
- メニューからの実行: 画面下部の翻訳提案バーが表示されない場合、画面右上の「︙」メニューをタップし、「翻訳...」を選択します。
- 選択範囲の翻訳: ページ上のテキストを選択すると、多くの場合、画面下部に翻訳バーが表示され、選択した部分を翻訳できます。
- 一般的なヒント: 手動翻訳を試みてもうまくいかない場合は、一度ページを再読み込み(更新)してみてください。一時的な不具合であれば、これで解決することがあります。
手動での翻訳が成功する場合、それはChromeの翻訳エンジン自体は正常に機能しており、設定も有効になっていることを示唆します。この場合、問題は自動提案のトリガー(関連設定や言語検出)にある可能性が高いです。逆に、手動翻訳も失敗する場合は、ネットワーク接続の問題、ウェブサイト側のCSPによる制限、あるいはキャッシュやCookieの破損、ブラウザ自体の不具合といった、より根本的な原因が考えられます。したがって、手動翻訳の試行は、問題の原因を特定するための重要な診断ステップとなります。
パート2:一般的な翻訳問題の診断と修正
基本的な設定を確認しても問題が解決しない場合、次に一般的な原因とその対処法を試します。
2.1 設定の再確認(クイックチェック)
念のため、パート1で説明した「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」設定と、「これらの言語のページでは翻訳ツールを表示しない」リストの内容を再度確認してください。これらは自動翻訳が機能しない最も一般的な原因です。
2.2 ブラウザのキャッシュとCookieのクリア
ブラウザが一時的に保存しているデータ(キャッシュ)やウェブサイトの設定情報(Cookie)が古くなったり破損したりすると、ウェブページの表示やブラウザの機能(翻訳を含む)に悪影響を与えることがあります。
- 効果: キャッシュとCookieをクリアすることで、これらの破損したデータが原因で発生している問題を解決できる場合があります。
- デスクトップ版の手順:
- Chromeの設定を開き、「プライバシーとセキュリティ」>「閲覧履歴データの削除」に進みます。
- 「期間」で「全期間」を選択します。
- 「Cookieと他のサイトデータ」および「キャッシュされた画像とファイル」のチェックボックスをオンにします。
- 「データを削除」をクリックします。
- 注意点:この操作を行うと、ほとんどのウェブサイトからログアウトされます。
- Android版の手順:
- Chromeアプリの設定を開き、「プライバシーとセキュリティ」>「閲覧履歴データの削除」に進みます。
- 同様に、「期間」を「全期間」に設定し、「Cookie、サイトデータ」と「キャッシュ」にチェックを入れてデータを削除します。
- 特定のサイトのCookie削除: すべてのサイトからログアウトしたくない場合は、問題が発生している特定のサイトのCookieのみを削除するオプションもあります。
キャッシュやCookieのクリアは、多くのブラウザ関連の問題に対する標準的な解決策として推奨されており、翻訳機能の不具合に対しても有効な場合があります。設定確認後に試すべき、比較的簡単で影響の少ない(ログイン状態を除く)手順です。
2.3 拡張機能の競合解決
Chrome拡張機能はブラウザの機能を拡張する便利なツールですが、時としてChromeの標準機能と競合したり、ページのコンテンツを変更したりして、翻訳機能を妨げることがあります。特に、広告ブロッカー、プライバシー保護ツール、他の翻訳関連の拡張機能などが原因となる可能性があります。
- 競合の特定方法:
- シークレットモードでのテスト: まず、問題が発生するウェブページをシークレットウィンドウ(通常、拡張機能はデフォルトで無効)で開いてみてください。シークレットモードで翻訳が正常に機能する場合、インストールされている拡張機能のいずれかが原因である可能性が非常に高いです。
- 拡張機能の個別無効化: Chromeのメニュー「︙」>「拡張機能」>「拡張機能を管理」を開き、インストールされている拡張機能を一つずつ無効にしながら、その都度、通常のウィンドウで翻訳機能を再テストします。これにより、問題を引き起こしている特定の拡張機能を特定できます。特定できたら、その拡張機能を削除するか、設定を見直してください。
拡張機能は、時に問題の原因となる一方で、翻訳機能の代替手段や特定のサイトでの問題を回避する手段を提供することもあります(例:公式Google翻訳拡張機能、DeepLなどの代替拡張機能、CSP回避を試みる拡張機能)。これは、拡張機能の管理には注意が必要であることを示唆しています。ある拡張機能が別の拡張機能やChromeの標準機能と競合する可能性があることを理解し、不要な拡張機能は無効または削除することが推奨されます。
2.4 コンテンツセキュリティポリシー(CSP)の理解
ウェブサイトによっては、セキュリティを強化するために「コンテンツセキュリティポリシー(CSP)」という仕組みを導入しています。
- CSPとは?: CSPは、ウェブサイトがブラウザに対して、どのソース(ドメイン)からリソース(スクリプト、画像、スタイルシートなど)を読み込むことを許可するかを指示するためのセキュリティ機能です。主な目的は、悪意のあるコードが挿入されて実行されるクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を防ぐことです 。
- CSPが翻訳をブロックする仕組み: Chromeの翻訳機能は、Googleのドメイン(例: translate.googleapis.com, translate.google.com, gstatic.com)からスクリプトやiframe(埋め込みフレーム)をページに挿入することで動作します 38。もしウェブサイトが厳格なCSPを設定しており、これらのGoogleドメインや、翻訳に必要なインラインスクリプト/iframeの実行を許可していない場合、ブラウザはCSPに従ってこれらのリソースの読み込みや実行をブロックします。結果として、翻訳機能は失敗します。
- CSP問題の特定: 翻訳が失敗する際に、ブラウザのデベロッパーコンソール(通常F12キーで開く)を確認すると、「Content Security Policy」に関連するエラーメッセージや、Googleドメインからのリソースがブロックされた旨のログが表示されることがあります。これがCSPによる制限の兆候です。
CSPによる翻訳の失敗は、Chromeのバグではなく、ウェブサイト側がセキュリティ上の理由から意図的に外部スクリプトを制限している結果です。したがって、キャッシュのクリアや設定変更、基本的な拡張機能の無効化といった通常のトラブルシューティングでは解決しません。これはウェブサイト側の制約であり、ユーザーは別の方法で翻訳を行う必要があります。
2.5 特定のサイトでの問題(AWS、GitHubなど)
特に開発者向けのドキュメントサイトやプラットフォーム(例:AWSドキュメント、GitHub)では、翻訳機能が動作しないという報告が多くあります。
原因: AWSやGitHubのようなサイトで翻訳が失敗しやすいのは、これらのプラットフォームがコードや機密情報を扱うため、セキュリティ(CSPなど)を最優先しているからです。CSPによる制限を回避するには、サイト外部のサービス(Google翻訳ウェブサイト)を利用するか、潜在的なセキュリティリスクを伴う拡張機能を使用するという選択肢になります。これは利便性とセキュリティのトレードオフであり、ユーザーは自身の状況に合わせて最適な方法を選択する必要があります。
CSPで保護されたサイトの回避策:
- Google翻訳ウェブサイトの利用: 最も安全で確実な方法は、Google翻訳のウェブサイト(translate.google.com)を利用することです(詳細はパート3.3で説明)サイトのURLを入力すれば、Google側でページ全体を翻訳して表示してくれます。
- 翻訳拡張機能(注意が必要): 一部のサードパーティ製拡張機能は、CSPを回避しようとしたり、異なる翻訳方法を使用したりする場合があります。しかし、CSPを無効化するような拡張機能は、ウェブサイトの重要なセキュリティ保護を解除してしまうため、使用には極めて慎重になるべきです。セキュリティリスクを理解している上級ユーザーが、一時的なテスト目的以外で使用することは推奨されません。
- <code> タグの問題: 開発者向けドキュメントでは、コード片を示すために <code> タグが多用されます。一部の翻訳ツール(Chrome標準機能を含む可能性あり)はこのタグ内のテキストを翻訳対象外とすることがあり、結果として意味の通らない翻訳文が生成されることがあります。この問題に対処するために特別に設計された拡張機能も存在します。
表1:トラブルシューティングの要約
考えられる原因 |
主な解決策 |
難易度 |
対象プラットフォーム |
備考 |
|
翻訳提案が無効になっている |
設定で「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」を有効にする |
簡単 |
デスクトップ, Android |
自動提案のトグルを具体的に確認 |
|
言語が「翻訳しない」リストにある |
設定で該当言語をリストから削除する |
簡単 |
デスクトップ, Android |
特定言語のみ翻訳されない場合に最重要チェック |
|
言語検出が正しくない |
手動翻訳(右クリック/メニュー)を使用する |
簡単 |
デスクトップ, Android |
エンジンが動作するか確認し、検出問題を回避 |
|
ブラウザキャッシュ/Cookieの不具合 |
閲覧履歴データ(キャッシュとCookie、全期間)を削除する |
簡単 |
デスクトップ, Android |
一般的な修正策だが、サイトからログアウトされる |
|
拡張機能の競合 |
シークレットモードでテスト後、拡張機能を一つずつ無効化して特定する |
中程度 |
デスクトップ, Android |
問題のある拡張機能を特定し、削除または無効化 |
|
ウェブサイトのCSPによるブロック |
Google翻訳ウェブサイトを使用する。特定の拡張機能を使用(要注意) |
中〜難 |
デスクトップ, Android |
サイトのセキュリティポリシーによる。通常の修正策では解決しない可能性が高い |
パート3:高度なトラブルシューティングと代替の翻訳方法
基本的な修正手順を試しても問題が解決しない場合は、より踏み込んだ手順や、Chromeの標準機能以外の翻訳方法を検討します。
3.1 Chrome設定のリセット
キャッシュクリアや拡張機能の管理でも解決しない根深い問題がある場合、Chromeの設定を初期状態に戻すことで解決する可能性があります。これは、知らないうちにアプリや拡張機能によって設定が変更されてしまった場合などに有効です。
- リセットされる項目: この操作により、既定の検索エンジン、ホームページ、新しいタブページ、コンテンツ設定(ポップアップ許可など)、Cookie、インストールした拡張機能やテーマなどが初期状態に戻ります。ただし、保存済みのブックマーク、閲覧履歴、パスワードは削除されません。
デスクトップ版の手順:
- Chromeの設定を開きます。
- 左側のメニューで「設定のリセット」を選択します(見当たらない場合は「詳細設定」内にある場合があります)。
- 「設定を元の既定値に戻す」をクリックします。
- 確認ダイアログで「設定のリセット」をクリックします 26。
- 注意点: このオプションは主にデスクトップ版Chromeで利用可能です。Android版には同等の包括的なリセット機能はありません。
- サイト権限のリセット: 関連する操作として、特定のウェブサイトに対する権限(カメラ、マイク、通知など)のみをリセットすることも可能です。これは、サイトの設定(アドレスバー左のアイコンをクリック > サイトの設定)から行えます。
3.2 Google Chromeの再インストール(最終手段)
設定のリセットでも問題が解決しない場合、Chromeのプログラムファイル自体が破損しているか、プロファイルデータに深刻な問題がある可能性があります。このような状況では、Chromeを完全にアンインストールし、再インストールすることが最終的な解決策となることがあります 5。
- 前提条件(重要): アンインストールを行う前に、必ずChromeの同期機能が有効になっており、ブックマーク、履歴、パスワード、設定などがGoogleアカウントに正しく同期されていることを確認してください。同期が機能していないと、再インストール後にこれらのデータを復元できません。
アンインストール手順(デスクトップ版):
Windows:
- すべてのChromeウィンドウを閉じます。
- Windowsの「設定」>「アプリ」>「インストールされているアプリ」(または「アプリと機能」)を開きます。
- リストから「Google Chrome」を見つけて選択し、「アンインストール」をクリックします。
- 確認画面が表示されたら、再度「アンインストール」をクリックします。
- 「閲覧データも削除しますか?」 というチェックボックスが表示される場合があります。ここにチェックを入れると、ローカルのプロファイル情報(キャッシュ、Cookie、履歴など)も削除され、よりクリーンな状態になりますが、同期されていないデータは失われます。チェックを入れずにアンインストールすることも可能です。
Mac:
- Chromeを完全に終了します(Dockのアイコンを右クリック > 終了)。
- Finderを開き、「アプリケーション」フォルダに移動します。
- 「Google Chrome」アプリケーションをゴミ箱にドラッグします。
- (オプション)プロファイル情報を完全に削除するには、Finderのメニュー「移動」>「フォルダへ移動」を選択し、「~/Library/Application Support/Google/Chrome」と入力して移動し、表示された「Chrome」フォルダ全体をゴミ箱にドラッグします。
- 再インストール手順:
- Googleの公式サイトから最新版のChromeインストーラーをダウンロードします 64。
- ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールします。
- 再インストール後: Chromeを起動し、Googleアカウントにログインして同期を有効にし、データが復元されるのを待ちます。
再インストールは多くの頑固な問題を解決する可能性がありますが 61、手間がかかり、特に「閲覧データも削除」オプションを選択した場合はデータ損失のリスクを伴います。そのため、実行前には必ず同期設定を確認することが極めて重要です。
3.3 Google翻訳ウェブサイトの利用
Chromeの組み込み翻訳や拡張機能が機能しない場合、特にCSPによって制限されているサイトでは、Google翻訳のウェブサイトを利用するのが最も確実で安全な代替策です。
- 手順:
- ウェブブラウザで translate.google.com にアクセスします。
- ページ上部にある「ウェブサイト」タブをクリックします。
- 翻訳したいウェブページのURL(アドレス)をコピーし、指定された入力欄に貼り付けます。
- 翻訳元の言語(通常は「言語を検出する」で自動判別可能)と、翻訳先の言語(例:日本語)を選択します。
- 矢印アイコンまたは表示されたリンクをクリックします。
- 利点: この方法は、Chromeの機能や拡張機能、ウェブサイトのCSP設定に依存しません。Googleのサーバーが対象ページのコンテンツを取得し、翻訳処理を行ってから結果を表示するため、Chrome内で発生する可能性のある多くの問題を回避できます。CSPが厳しいAWSドキュメントやGitHubなどの翻訳に特に有効です。
- 欠点: 元のサイトから離れてGoogle翻訳のインターフェース内で閲覧することになり、URLを手動でコピー&ペーストする手間がかかります。
3.4 翻訳拡張機能の活用
Chromeウェブストアには、翻訳機能を提供する様々な拡張機能が存在します。これらを利用することも有効な選択肢です。
- 公式Google翻訳拡張機能:
- Google自身が提供する拡張機能です。Chromeウェブストアからインストールできます。
- ツールバーのアイコンをクリックしてページ全体を翻訳したり、テキストを選択してポップアップアイコンをクリック(または右クリックメニューから)して部分翻訳したりできます。設定オプションも利用可能です。
- 標準機能と併用可能ですが、稀に予期せぬ動作を引き起こす可能性もゼロではありません。
- 代替の翻訳拡張機能(例:DeepLなど):
- DeepL翻訳拡張機能などは、翻訳精度の高さで評価されており、異なる機能を提供する場合もあります。
- 開発者向けには、<code>タグ内のテキストを適切に扱えるように設計された拡張機能や、開発ワークフローに統合しやすい機能を持つものもあります。
- CSP関連の拡張機能(使用には最大限の注意を):
- 一部の拡張機能は、CSPヘッダーを変更または無効化することで、制限されたサイトでの翻訳を可能にすると謳っています。
- セキュリティリスクの強調: これらの拡張機能、特にCSPを完全に無効化するものは、ウェブサイトが意図した重要なセキュリティ保護(XSS対策など)を解除してしまいます。これにより、悪意のある攻撃に対して脆弱になる可能性があります。これらの拡張機能の使用は、リスクを完全に理解している上級ユーザーが、自己責任において一時的なテスト目的で行う場合に限定すべきであり、一般的な利用は絶対に推奨されません。
CSPによってブロックされているサイトに対する最も効果的な回避策(Google翻訳ウェブサイト、リスクの高い拡張機能)は、サイトのコンテキストから離れるか、セキュリティレベルを下げるかのいずれかを伴います。これは、厳格なセキュリティポリシーを持つサイトでは、シームレスなページ内翻訳とサイトのセキュリティ目標が両立しない場合があることを示唆しています。ユーザーは利便性と安全性のどちらを優先するかを判断する必要があります。
結論
トラブルシューティングのワークフロー概要
Google Chromeでページの自動翻訳が機能しない場合、以下の順序で対処法を試すことを推奨します。
- 設定の確認: Chromeの言語設定で「Google 翻訳を使用する」と「母国語以外のページで翻訳ツールを表示する」が有効か、対象言語が「翻訳しない」リストに入っていないかを確認します。
- 手動翻訳のテスト: 右クリックメニューやアドレスバーのアイコンから手動で翻訳を試み、翻訳エンジン自体が機能するかを確認します。
- キャッシュとCookieのクリア: ブラウザの一時ファイルが原因の可能性があるため、閲覧履歴データ(キャッシュとCookie)を全期間で削除します。
- 拡張機能の確認: シークレットモードで問題が再現しないか確認し、再現しない場合は拡張機能を一つずつ無効化して競合するものを特定します。
- CSPの確認: デベロッパーコンソールでCSP関連のエラーがないか確認します。エラーがある場合、ウェブサイト側の制限である可能性が高いです。
- 設定のリセット: 上記で解決しない場合、Chromeの設定をリセットします(デスクトップ版)。
- 再インストール: それでも解決しない場合の最終手段として、Chromeを再インストールします(必ず事前に同期を確認)。
- 代替手段の利用: 特にCSPが原因の場合や、上記手順で解決しない場合は、Google翻訳ウェブサイトや信頼できる翻訳拡張機能を利用します。
主要なポイント
- 翻訳の問題は、単純な設定ミスから、ブラウザの一時的な不具合、拡張機能の競合、そしてウェブサイト側が意図的に設定したセキュリティポリシー(CSP)まで、多岐にわたります。
- 特に、AWSドキュメントやGitHubのようなセキュリティを重視するサイトでは、CSPによってChromeの標準翻訳機能がブロックされることが一般的です。これはChromeの不具合ではなく、ウェブサイト側の仕様です。
- キャッシュ/Cookieのクリアや拡張機能の無効化は、多くの一般的な問題を解決する可能性があります。
- 設定のリセットや再インストールはより強力な解決策ですが、ブックマーク等のデータ保護のため、実行前にChrome Syncの有効性を確認することが不可欠です。
最終的な推奨事項
問題が発生したら、まずは最も簡単な設定確認から始めてください。多くの場合、基本的な設定の見直しやキャッシュのクリアで解決します。
CSPによって翻訳がブロックされている可能性が高いサイト(特に開発者向けサイト)については、Google翻訳のウェブサイト(translate.google.com)を利用するのが最も安全かつ確実な回避策です。
翻訳拡張機能は便利な代替手段となり得ますが、特にCSPを操作すると謳う拡張機能については、そのセキュリティリスクを十分に理解し、慎重に判断する必要があります。安易にセキュリティ保護を無効化することは避けるべきです。
このガイドが、Google Chromeの翻訳に関する問題を解決するための一助となれば幸いです。
以下の有料部分には参考文献のリストが紹介されています。