今週のお題「ケチらないと決めているもの」
節約。
それは現代社会におけるサバイバル術であり、賢い暮らしの象徴…のはず。
私もご多分に漏れず、日々「どうすればもっと賢くお金と付き合えるか」を考えています。しかし、私の節約道は、どこか奇妙な方向へと迷い込んでしまったようです。
それは、「節約のための情報収集」という名のブラックホールに、吸い寄せられるようにお金を注ぎ込んでしまうこと。
「またか」と思われた方、すみません。
でも、これは私だけの特殊な症状ではない…はず。あなたの中にも、心当たりのある部分があるかもしれませんよ?
私の日常業務は、もはや「お得情報ハンター」と言っても過言ではありません。メールを開けば「〇〇ペイ今週の還元キャンペーン」「会員様限定シークレットセール」の件名がずらり。
リビングの隅には、付箋だらけの『サンキュ!』や『LDK a good life』といった雑誌が積み上がり
ブラウザのお気に入りには「食費の節約術16選!買い物のコツやおすすめの節約食材も紹介」や「知らないと損するポイ活完全マスター!」といった、輝かしい未来を約束する(はずの)ページがぎっしりと登録されています。
「この情報を知らなかったら、きっと損をする…!」
そう思うと、いてもたってもいられず、気づけば「購入」ボタンをクリック。まるで、お得情報界の限定レアアイテムを追い求めるコレクターのようです。
なぜ、こんな本末転倒な行動をとってしまうのでしょうか?
少し自己分析してみました。
損失回避の呪い:人間は「得をしたい」という気持ちよりも「損をしたくない」という気持ちの方が強く働くそうです。まさにこれ。「知らないことで損する恐怖」が、情報への課金を正当化してしまうのです。
情報という名の「安心毛布」:大量の節約情報を手に入れると、なんだか「ちゃんとやっている感」「備えは万全感」を得られます。実際にそれを活用して節約できたかは…
まあ、別問題として。情報を持っていること自体が、精神安定剤になっているのかもしれません。
「知る」こと自体の快感:「へぇ!そんな方法があったのか!」という発見は、純粋に知的好奇心を満たしてくれます。節約というより、クイズやパズルを解く感覚に近いのかも。ドーパミンが出ている気がします(笑)
サンクコストの罠:「ここまで情報収集にお金と時間をかけたんだから、今更やめるのはもったいない」という心理。結果、さらに情報を追い求め、投資額は膨らむ一方…。
友人には「その情報代で、普通に美味しいもの食べに行けるんじゃない?」と的確すぎるツッコミを受けます。
その通り。
ぐうの音も出ません。
しかし、同じような「節約ガチ勢」の仲間を見つけると、
「あのキャッシュレス決済のキャンペーン、エントリーした?」
「格安SIM、結局どこが一番安定してる?」
「〇〇スーパーの割引クーポン、どうやってゲットしたの?」
なんて、妙な連帯感と共に情報交換(という名の節約テクニック披露会)が止めどなく続いてしまうのです。
ああ、恐ろしき仲間意識。
結局のところ、集めた情報の多くは「積読」ならぬ「積情(つみじょう?)」状態。
情報が多すぎて消化不良を起こし、何から手をつければいいのか分からなくなる「情報メタボ」に陥っている気もします。
果たして、私の年間節約額は、情報収集コストを上回っているのでしょうか?
…考えたくありません。
この矛盾した行動は、滑稽でしょうか?
それとも、情報過多社会が生んだ、ある種の現代病なのでしょうか?
もしかしたら、「節約情報収集」という行為そのものが、私にとっての最大の「浪費」であり、同時に最高の「娯楽」なのかもしれません。
だとすれば、それはそれで、一つの消費の形…?
いやいや、やっぱりちゃんと元を取らないと!
そう決意を新たにしながらも、きっと私は明日もまた、「最新!」「限定!」の文字に心を躍らせ、新たな「お得情報」をポチッとしてしまうのでしょう。
ああ、誰か、この『お得』の迷宮から私を救い出してください…! (でも、最新の脱出マニュアルがあったら、買っちゃうかも…)