こんにちは!野球ファンのみなさん、野球中継や記事で「半速球(はんそっきゅう)」という言葉、聞いたことありませんか? なんとなく「速球よりは遅いけど、変化球ほどじゃない球かな?」なんてイメージがあるかもしれませんが、実はこれ、かなり曖昧な言葉なんです。
今回のシリーズでは、この謎めいた「半速球」という言葉を手がかりに、現代野球の奥深さを探っていきます。特に、メジャーリーグ(MLB)で使われている「スタットキャスト」というハイテク技術が、投球の世界をどう変えたのかを見ていきましょう。
「半速球」のモヤモヤ
まず知っておきたいのは、「半速球」にはカチッとした定義がない、ということです。人や状況によって、指すものが結構変わってきます。
- チェンジアップやスプリッターみたいに、意図的にスピードを落としたボール全般 1。
- スピードもキレもない、いわゆる「死んだストレート」をちょっと残念な感じで呼ぶとき。
- 時には、スライダーやカーブ、カットボールみたいな変化球まで含めてしまうことも。
昔はピッチャーの投げる球を「速い!」「曲がった!」みたいに感覚で捉えるのが普通でしたから、こういう曖昧な言葉が残っているんですね。
救世主?スタットキャスト登場!
でも、今は違います。MLBでは「スタットキャスト(Statcast)」という、すごい技術が使われています 。これは、球場に設置された特殊なカメラやレーダーで、ピッチャーが投げたボールの速度、回転、変化の仕方などをめちゃくちゃ詳しく計測できるシステムなんです。
2015年からMLB全30球場に導入され、2020年からはさらに高性能な「Hawk-Eye」カメラシステム(2023年には秒間300コマ撮影にパワーアップ!)を使って、投球だけでなく、打球の速さや角度、選手の動きまで、グラウンド上のあらゆるアクションをデータ化しています。なんと、1シーズンで72万5千球以上もの投球データが集まることもあるとか。
このブログシリーズの目的
このシリーズでは、「半速球」という言葉が連想させるボールの特徴(スピード、変化、回転など)や、それが持つ戦略的な意味(バッターのタイミングをずらす、など)を、スタットキャストの客観的なデータを使って解き明かしていきます。
「なんとなく」の世界から、「データでくっきり」の世界へ。スタットキャストが明らかにする投球の真実に迫ることで、野球観戦がもっと面白くなるはずです!次回は、スタットキャストがどんなデータを計測しているのか、その基本を見ていきましょう。お楽しみに!