5回の表 中日ドラゴンズの攻撃は7番サード高橋周平選手から始まりました。そこでめったに見られない珍プレーが起きたんです。
オリックスバファローズのピッチャーはここまで無失点に抑えている宮城大弥投手。
初球は122キロのスライダーを真ん中付近に投じストライク。簡単にストライクを稼ぎます。カウントは1ストライク。
2球目は、インコースへのストレート。ここはボール1個分外れて、1ボール1ストライク。
3球目はアウトコースへの145キロのストレートでストライク。カウントは1ボール2ストライク。
4球目はスライダーを外の際どいコースに投げるも高橋周平選手がうまくカットしファール。カウントは動かず1ボール2ストライク。
5球目。
キャッチャーは再び外に構え、ジェスチャーで低めを要求。球種は何を投げようとしたのかは分かりませんが
宮城投手の渾身の一球は
なんと!
サード前にコロコロと転がってしまいました。
ボールはサード前で止まってしまいました。
一体何が起こったのでしょう?
どうやらですね、軸足かどこかに当たったか、力を抜きすぎて手からボールが転げ落ちてしまったみたいでした。
三塁側にフワッと飛んでコロコロコロコロ…
一瞬、何が起きたか打者の高橋周平選手もビックリしてましたが、それでも宮城投手は腕を最後まで振っていました。
このプレーから学んでほしいことが二つあります。
基本的すぎるかもしれませんが再確認をしておきましょう。
- ボークについて
- 脱力について
です。
1.これってボーク??
1.のボークについては意外と知らない方がいます。ランナー有りならボールを落とした時点でボークですが、今回のようにランナー無しの場合において、投球動作の途中でボールを落としてしまった場合にはノープレー(ナッシング)となります。(ただし、そのボールがファールラインを超えてファールゾーンまで出てしまったら投球となり、ボールになります)今回はランナー無しだったので、ナッシング。幻の5球目のあともちゃんと1ボール2ストライクから再開されてましたね。
(追記:2022/06/08の日本ハムファイターズ対横浜DeNAベイスターズの試合でも同じようなことが起こりました。解説の岩本さんも、このような場合どうなるかをしっかりと覚えていなかったようです。)
2.脱力しよう。スポーツが上手くなるコツは脱力
2つ目は、プロの投手はこれだけ軽くボールを握っているということ。ボールが落ちそうになったら、力を入れて落とさないようにするのが普通だと思いますが、宮城投手はボールが落ちたあともそのまま腕を振っていました。投球動作の中で力を入れるポイントではなかったら、全く力を入れていないということが分かりますね。
投手は速い球を投げたかったら、体幹から指先までをしならせなくてはいけません。
しならせるためには腕の脱力が重要なポイントなのです。どれくらいボールを軽く握ればいいのかは各自が色々試して感覚を掴む必要があると思います。1番掴むのが難しいと言われる脱力に関しては理屈ではなく自身の感覚が大事だと思います。
力が入ってしまう理由は早い時期での硬式球での投球が影響しているのかもしれない
近年、プロ野球のエース級投手には中学時代に軟式でプレーをしていた選手が目立つという記事をよく見かけるようになった。
昨今プロ球界で、中学軟式出身、特に投手の活躍が目覚ましい。
セ・パを代表するエース級の投手・千賀滉大(ソフトバンク)や菅野智之(巨人)、東京五輪の決勝戦に先発した森下暢仁(広島)、胴上げ投手になった栗林良吏(広島)など中学軟式出身投手が球界を席巻している
プロ球界で“軟式出身選手”が活躍中…全軟連は「勝利至上主義」「競技人口減」をどう考える?〈古希VS小学生の試合も!?〉 - ドラフト会議 | プロ野球 - Number Web - ナンバー
確かに野手は硬式出身者が多いと思いますが、なぜピッチャーでは軟式出身者が活躍できているのでしょうか。
私が感じているのは、身体ができていない中学生の段階で硬式球を投げることに慣れてしまうからだと思います。
軟式球だと138gくらいですので、硬式球と10gほどの差があるのです。10gではありますが、腕力も握力もない時期では硬式球は非常に重く感じてしまいます。そのため硬式球では無意識に力が入ってしまうのです。これは、自分がイップスになってから気づいたことでもありました。力が必要以上に入っていることに気づいても、それから脱力をするのは難しくなっていました。(ひどい時にはボールを持った瞬間、恐怖からボールを握り潰すくらいにチカラを入れてしまっていました)
横浜高校の元部長である小倉清一郎さんは以下のようにコメントしています。
親に負担をかけずに野球を続けたいなら、あるいは投手として先を見据えているなら、中学は軟式でもいいと思う。
硬式クラブの大会は昔から投球には制限がありました。ですので肘や肩の消耗が原因ではないと思いますね。
野手の適性があるのか、投手に適性があるのかは中学の入学段階ではわかりませんが、硬式野球をやるにしても、軟式をやるにしてもメリットとデメリットがあることは理解しておきましょう。
ちなみに、オリックスの宮城大弥投手は硬式のクラブの名門 宜野湾ポニーの出身みたいですけどね。笑