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【宅建】権利関係の攻略 〜初学者編〜

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「権利関係」分野が難しく感じるのは、法律用語や基本を知らないからだと思います。

ですので理解しておきたい、法律用語や基本知識を集めてみました。

これらを理解しておくだけで、全体の理解のスピードがだいぶ変わると思います。

 

①「法律上当然には」とは?

保佐人には、法律上当然には代理権は与えられていない。ただし、家庭裁判所の審判で、特定の行為(不動産の売買)について、保佐人に代理権が与えられることがある。

テキストを読んでいて、以上のような説明がされていました。

どういう意味か分かるでしょうか?

「当然には」の部分を、「自然には」に読み変えるとわかりやすいかもしれません。

自然に(勝手に)与えられているものではないので、権利は自分からアクションを起こして取りに行かなければならないという意味です。この考え方は基本として覚えておきましょう。

②無効と取り消しの違い

過去に、”元々「無効」だから「取り消し」できない。”という問題が出されたことがあります。違いを意識して学習を進めましょう。

無効について

  • 効力がはじめから生じていない
  • 主張不要(当然に無効)
  • 期間制限なし
  • 追認しても効力なし

取り消しについて

  • はじめから無効として扱う
  • 取消権者の取消が必要
  • 期間制限あり
  • 追認により有効

③契約の基本的な考え方

出題されるケースの基本は、表意者(A)、相手方(B)、第三者(C)がいて、AB間にトラブルが生じているパターンです。

当事者間(AB間)の原則

Aは無効の主張または取消しができるのが原則

  1. 公序良俗違反、通謀虚偽表示、心裡留保
  2. 制限行為能力者である、錯誤、詐欺、脅迫

表意者と第三者間(AC間)の原則

  • AB間が有効→Cは保護される
  • AB間が無効または取り消し→Cは保護されない

トラブルの原因

無効となる場合

  • 公序良俗違反
  • 通謀虚偽表示
  • 心裡留保

これらの3つのトラブルはAが無効の主張ができる具体例として抑えておきましょう。

通謀=共謀

心裡の「裡」は内側という意味です。裏と同じ意味だそうです。

取消しができる場合

  • 制限行為能力者
  • 錯誤
  • 詐欺
  • 脅迫

④「催告」の確答がない場合

 無権代理人と制限行為能力者の相手方の催告権

無権代理人の行為に対する催告

相手方には、「本人に対して追認するか」の催告権があります。追認すれば、無権代理人の行為の効果は有効になり、追認拒絶なら無効となります。確答されなかった場合は、拒絶したものとみなされます。自分の知らないところで勝手に物事が進められているなんて、気持ち悪いですから無視する人も多いと思います。無視した場合拒絶というのは妥当ですよね。

制限行為能力者への催告

取消しできる行為について、1ヶ月以上の期間を定めて「追認するかどうか」を確答するよう催告することができます。

追認があれば「取消し不可」、取り消されれば「はじめから無効」となります。

確答がない場合の効果は催告先によって分かれます

  • 単独で追認できる者→追認されたとみなす
  • 被保佐人、非補助人→取消しされたとみなす

ただし、被保佐人と被補助人に催告する場合、「保佐人や補助人の追認を受けるようにと催告する」

無権代理人の行為に対する催告は、守るべき対象は催告された本人なので催告を無視した場合拒絶となり、制限行為能力者の行為に対する催告は相手方の保護目的でもあるので、上記のようになります。

誰を保護する必要があるのかを意識して覚えるのが良いと思います。

⑤未成年が代理人になることはできる?

過去問から1問。正誤問題です。

未成年が任意代理人になって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき、当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。(H24-問2改)

答えは×です

未成年者に制限があるのは未成年を保護するため

この場合、(未成年の)代理人には法律効果が帰属しないため、未成年者は法定代理人の同意は不要。

ですので、代理人の行為は本人に有効に帰属します

⑥停止条件と解除条件

条件が成就した時に効力が①発生するか②消滅するかの2つのパターンがあります。

停止条件

条件が成就するまで「効力を停止しておく条件」のことですね。なので条件が成就したら効力が発生します。OFF→ONだというイメージです。

解除条件

停止条件とは反対に、条件が成就したら効力が消滅します。ON→OFFです。

特殊な条件付き法律行為の効力

  1. 不法条件
  2. 不能条件
  3. 既成条件

1.不法条件

1.不法条件の場合は停止条件だろうと解除条件だろうと無効です。これは問題ないですよね。不法だから。

2.不能条件

条件の成就が一向に起こらないということ。「OFF→ON」の矢印がないということ。

OFFならずっとOFFのまま(停止条件)、ONならずっとONのまま(解除条件)ということになります。

ずっとOFFのままというのは「法律効果が有効になることはない→無効」ということで、

ONのままというのは、どんな条件でも法律効果は有効ということなので、条件はありません(無条件)

3.既成条件

停止条件と解除条件にそれぞれ、①成就が確定している場合、②不成就が確定している場合のパターンの可能性があります。

①成就が確定している場合

停止条件

OFF→ONの矢印からが既に起きているのですからON状態ということになります。つまり、どんな条件でも成立するということ=無条件

解除条件

ON→OFFのOFF状態ということなので、無効となります。

②不成就が確定している場合

これらは、不能条件のときと同じです。条件が整わないということは不能ですよね。

OFFならOFFのまま、ONならONのまま

つまり停止条件→無効、解除条件→無条件

ということです。

⑦期間の計算

民法では、初日は不算入が基本です。理由としては丸一日(24時間)ないからです。

例外として、契約や条文に定めがある場合はそれに従います。

宅建業法でのクーリング・オフは告知を受けた後8日以内ですが、告知日を含みます

終わりに

特殊な条件付きの法律行為は、そのままテキストを読んだだけだと理解しにくいと思いますので、この文章を読んでも分からないという場合はコメントください。